この記事でわかること
- 相模原市の市街化調整区域の概要
- 調整区域が広いエリア(旧津久井・旧相模湖・旧藤野・旧城山・上溝)
- 相模原市での開発許可3つのルート
- 政令指定都市・旧4町合併の運用の特徴
- 申請の流れ7ステップ(相模原市役所完結)
- 相模原市の開発許可費用相場
- 相模原市の調整区域で陥りやすい5つの落とし穴
相模原市は人口72万人、面積328.91㎢の政令指定都市(2010年4月移行)で、神奈川県北部最大の都市です。市域の半分以上を占める緑区には、2006〜2007年に合併した旧津久井町・旧相模湖町・旧藤野町・旧城山町の山間部が含まれ、津久井湖・相模湖・宮ヶ瀬湖周辺の広大な調整区域・自然環境地帯を抱えます。本記事では政令市処分の強みと、旧4町合併による複雑な運用ルール、山間部・自然環境保全との両立を、建築士の視点から解説します。

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📜 依拠法令:都市計画法(29・33・34条)/34条特例(11号・12号・14号)/建築基準法/相模原市開発許可制度の手引き
📊 結設計:神奈川県(相模原市)案件にも対応。一級建築士による執筆・監修。参照:相模原市
相模原市の市街化調整区域の概要
📖 詳しい解説はこちら
千葉県全域の農地転用ルール(千葉県内房5市など)はこちらで詳しく解説しています。
→ 農地転用 千葉県でおすすめの建築士事務所|手続きの流れと費用を解説
| 市区分 | 処分庁 | 標準工期 | 特徴 | 該当例 |
|---|---|---|---|---|
| 政令指定都市 | 市長処分 | 4〜6ヶ月 | 市内完結・最速 | 千葉市・横浜市・川崎市・相模原市・さいたま市・静岡市・浜松市 |
| 中核市 | 市長処分 | 4〜6ヶ月 | 市内完結・市独自運用 | 船橋市・柏市・成田市・川口市・川越市・横須賀市・藤沢市・前橋市・高崎市・富士市・松戸市 |
| 施行時特例市 | 規模により市/県 | 4〜7ヶ月 | 規模で処分庁が変動 | 所沢市・太田市・沼津市・草加市・春日部市等 |
| 一般市・町・村 | 知事処分 | 5〜8ヶ月 | 市が窓口・県が審査 | 市原市・木更津市・君津市・富津市・船橋以外の千葉県内市町等 |

相模原市の市街化調整区域は約180㎢(市域の約55%)と、政令市の中では飛び抜けて高い比率です。緑区の山間部・湖周辺が大部分を占めており、相模原駅周辺・橋本駅周辺などの市街化区域とは対照的な構造を持ちます。
4町合併で広域化した経緯
相模原市は2006年に旧津久井町・旧相模湖町、2007年に旧藤野町・旧城山町を編入合併し、面積が3倍以上に拡大しました。旧4町は線引きの経緯が相模原市本体と大きく異なるため、合併後も旧町時代の運用ルールが部分的に残存しています。
政令指定都市としての処理権者
相模原市は2010年4月に政令市移行し、開発許可は全て相模原市長が処分。窓口は相模原市役所まちづくり計画部市街地整備課・建築指導課で、市内完結で審査が進行します。
米軍施設・自然環境保全の影響
中央区・南区には相模総合補給廠・キャンプ座間などの米軍施設があり、周辺の調整区域案件では電波伝搬・高度制限との並行協議が発生します。緑区の津久井湖・相模湖周辺は神奈川県水道水源で、水源涵養林・自然環境保全条例との両立が必要です。
調整区域が広いエリア(旧津久井・旧相模湖・旧藤野・旧城山・上溝)

相模原市の調整区域案件はこの5エリアに集中します。
緑区旧津久井町エリア
津久井湖周辺の山間部。中野・三井・鳥屋・青根・青野原などの集落が点在し、林業・農業従事者向けの住宅案件が中心。旧津久井町時代の都市計画運用が部分的に継承され、特殊な事前協議が必要なケースあり。
緑区旧相模湖町エリア
相模湖周辺の半山岳地帯。与瀬・千木良・若柳・寸沢嵐の集落で11号特例案件。傾斜地での造成・擁壁費用が他エリアより大きく発生する傾向。
緑区旧藤野町エリア
藤野駅周辺の山間部。芸術文化活動の盛んなエリアで、アートと両立した地域貢献型14号案件もあります。陣馬山・石老山の登山口に近く、観光関連施設も存在。
緑区旧城山町エリア
城山ダム周辺の丘陵地帯。原宿・小倉・川尻の既存集落で11号特例案件。橋本駅から近く、リニア中央新幹線駅予定地に隣接するため将来的な開発動向にも注目されます。
中央区上溝・田名地区
相模川左岸の田園地帯。上溝・田名・横山台の既存集落で11号特例案件。古代相模国分寺跡周辺の歴史的景観への配慮が必要なケースあり。
相模原市での開発許可3つのルート
📖 詳しい解説はこちら
横浜市の開発許可の全体像(政令市18区別の運用差)はこちらで詳しく解説しています。
→ 横浜市 開発許可|18区別の運用と申請の流れを建築士が解説
| 条文 | 名称 | 要件 | 主な用途 | 頻度 |
|---|---|---|---|---|
| 34条11号 | 既存集落特例 | 線引き前から50戸以上集積(半径200m以内)の既存集落内 | 分家住宅・農家住宅 | 最も使用頻度高 |
| 34条12号 | 地区計画特例 | 地区計画指定エリア内 | 計画適合の戸建住宅・店舗 | 地区限定で使用 |
| 34条14号 | 開発審査会特例 | 個別案件として地域貢献性・合理性を立証 | 農家分家・収用代替・特殊用途 | 最終手段・諮問必要 |

ルート1:34条11号特例(既存集落)
相模原市建築指導課で「指定既存集落リスト」が公開されており、旧4町エリアと相模原本体で別々に整備されています。線引き前から続く50戸以上の集積が要件です。
ルート2:34条12号特例(地区計画)
橋本駅周辺などの地区計画指定エリアで活用可能。リニア駅周辺の動向で地区計画指定が増加傾向。
ルート3:34条14号特例(開発審査会)
相模原市開発審査会への諮問ルート。藤野エリアのアート・観光関連施設や、津久井エリアの林業関連施設は地域貢献性を立証することで認められる余地があります。
政令指定都市・旧4町合併の運用の特徴

特徴1:市内完結で審査が早い
相模原市役所内で事前相談から本申請・許可まで完結。標準工期は4〜6ヶ月。
特徴2:旧4町ごとの運用ルール差
緑区の旧津久井町・旧相模湖町・旧藤野町・旧城山町はそれぞれ異なる線引き経緯と既存集落の認定根拠を持ちます。対象地がどの旧町だったかで運用が変わるため、最初に旧町を確認することが重要。
特徴3:山間部・水源地保全との並行協議
津久井湖・相模湖の水源涵養林エリアは、神奈川県水道局・相模原市環境部局との並行協議が必要です。
申請の流れ7ステップ(相模原市役所完結)

標準工期は4〜7ヶ月(山間部・水源地該当性で変動)。
- 事前相談(1〜2週間)相模原市役所建築指導課で計画概要を相談、旧町区分・既存集落該当性・水源地該当性を確認。
- 事前協議書提出(1〜2ヶ月)法令該当条文・接道・排水・農地転用の方針を整理。
- 関係機関協議(1〜2ヶ月)水道・下水・道路・農業委員会・環境部局・米軍関連機関など。
- 本申請(書類提出)図面・計画書・同意書一式を相模原市役所に提出。
- 市審査(1〜2ヶ月)建築指導課で本審査。34条14号の場合は開発審査会への諮問。
- 許可(相模原市長処分)開発許可証が交付。
- 工事完了検査(工事後)完了届・検査済証取得後に建築確認申請へ進む。
相模原市の開発許可費用相場
| 項目 | 金額目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 建築士事務所への設計・監理費 | 80〜220万円 | 規模・難易度で変動 |
| 行政書士・土地家屋調査士費用 | 20〜40万円 | 申請代行・測量分筆 |
| 農地転用許可費用 | 20〜30万円 | 農振除外を含む場合は+10〜20万円 |
| 造成・擁壁工事費 | 50〜300万円 | 地形・敷地規模で大きく変動 |
| 県・市への手数料 | 6〜12万円 | 規模により変動 |
| 登記・印紙等諸経費 | 5〜15万円 | 司法書士費用含む |
| 合計目安 | 180〜620万円 | 建築工事費は別途 |

標準的な分家住宅・農家住宅(敷地300〜500㎡規模)の場合の費用目安:
- 建築士事務所への設計・監理費:90〜220万円
- 行政書士・土地家屋調査士費用:20〜40万円
- 農地転用費用(必要な場合):20〜30万円
- 造成工事費(必要な場合):80〜300万円
- 市への手数料:6〜12万円
総額目安:210〜600万円
緑区の山間部・傾斜地では擁壁・造成費が大きく発生し、平坦地(中央区・南区)と比べて100〜200万円上振れする傾向。藤野・相模湖の傾斜地ではさらに造成費が膨らむケースあり。
相模原市の調整区域で陥りやすい5つの落とし穴

落とし穴1:旧町ごとの運用ルール差
緑区の調整区域案件で「旧津久井町ルール」「旧相模湖町ルール」など、対象地の旧町を確認しないと運用差で再協議になるケース。
落とし穴2:山間部の傾斜地での造成費
旧相模湖町・旧藤野町エリアの傾斜地では擁壁・造成費が想定の2倍以上になるケースあり。事前のボリュームチェックが重要。
落とし穴3:水源涵養林との両立
津久井湖・相模湖の集水域では水源涵養林保全との両立が求められ、樹木伐採・敷地排水に制限がかかるケースあり。
落とし穴4:米軍施設周辺の高度制限
中央区の相模総合補給廠・キャンプ座間周辺では電波伝搬・高度制限との並行協議が必要なケースあり。
落とし穴5:リニア橋本駅周辺の都市計画変更
旧城山町・橋本駅周辺はリニア中央新幹線駅予定地として都市計画変更が進行中。編入前の申請は却下リスク。
相模原市の調整区域で建てられる建築物

カテゴリ1:分家住宅・親族住宅(11号・14号)
線引き前から相模原市内に居住する親族の子・孫世帯による住宅。
カテゴリ2:農家住宅・農業関連施設(29条1項2号・34条1号)
緑区・中央区上溝での農家住宅・農業倉庫。
カテゴリ3:公益施設・地域貢献施設(34条1号)
藤野のアート関連施設・津久井の林業関連施設など、地域特性を活かした案件も。
カテゴリ4:地区計画指定エリア内の戸建住宅(12号)
橋本駅周辺の地区計画区域。
結設計の相模原市対応について

結設計(千葉県木更津市)は内房を中心としつつ、神奈川県内(横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市・藤沢市)の案件も初回相談を承っています。相模原市は政令市・旧4町合併・山間部・米軍施設・水源地という極めて複雑な事情があるため、地元建築士事務所との連携を視野に入れたアドバイスをいたします。
「津久井エリアで建てたい」「藤野でアート関連施設を建てたい」など、計画段階の選択肢整理のご相談から対応可能です。
公的情報・関連リソース
- 相模原市公式|開発許可・都市計画関連ページ
- 相模原市公式サイト(都市計画・建築指導課の連絡先)
- e-Gov法令検索|都市計画法(全文)
- 国土交通省|開発許可制度の運用
- e-Gov法令検索|農地法(全文)
よくある質問

Q1. 緑区の山間部で家を建てられますか? A. 既存集落要件を満たせば建築可能ですが、傾斜地での造成・擁壁費用が大きく発生する傾向があります。事前のボリュームチェックを推奨します。
Q2. 旧4町の運用ルール差はどう確認しますか? A. 相模原市役所建築指導課に対象地の住所を伝えれば、旧町区分と適用される運用ルールを教えてもらえます。
Q3. 水源涵養林エリアで建てる場合の注意点は? A. 樹木伐採制限・敷地排水制限があり、神奈川県水道局との並行協議が必要です。
Q4. リニア橋本駅周辺の調整区域はどうなりますか? A. 計画的市街化が進行中のエリアがあります。都市計画変更スケジュールを確認してから開発許可を進めることをお勧めします。
Q5. 申請から許可までどれくらいかかりますか? A. 標準で4〜7ヶ月。山間部・水源地・米軍施設近接の場合は7〜10ヶ月見込んでください。
相模原市の都市計画決定の歴史と運用上の特徴
線引き決定と政令指定都市指定
- 都市計画区域指定:1957年(昭和32年)
- 線引き決定:1970年(昭和45年)神奈川県告示
- 市制施行:1954年11月20日
- 平成の大合併:2006年3月20日津久井町・相模湖町、2007年3月11日藤野町・城山町と合併(4町合併)
- 政令指定都市指定:2010年4月1日(全国で19番目)
相模原市は 2006-2007年の旧4町合併で市域が大幅に拡大、2010年4月の政令指定都市指定を実現しました。3区(緑・中央・南)体制で、合併前の4町域の運用差が一部残っています。
中山間部の特殊運用
相模原市西部の 緑区(旧津久井町・旧相模湖町・旧藤野町・旧城山町域)は中山間部。34条特例11号既存集落の運用は山間集落特有の判定で運用されています。
相模原市に特有の論点・条例・指針
① 相模原市開発事業に関する条例(2010年施行)
政令市指定と同時に制定。500㎡以上で適用、緑地15%以上。
② 旧4町合併運用統合書
合併時の 「相模原市・旧4町統合運用基準書」では、旧町域での 34条運用基準を旧町基準で継続。
③ 相模川・道志川の河川管理者協議
市域の 相模川・道志川沿いの開発は 神奈川県土木事務所協議が必要。
④ 中山間部の土砂災害警戒区域
緑区の中山間部は 土砂災害警戒区域を含み、開発時に 土砂災害対策設計が必須です。
相模原市の建築士・行政書士業界の実情と結設計の対応可否
神奈川県建築士会 相模原支部
支部全体で約400〜500事業所。政令市処分・4町合併運用・中山間部34条運用を持つ事務所が中核。
神奈川県行政書士会 相模原支部
開発許可・農地転用対応事務所は 30〜40事務所。
結設計の対応可否(透明な開示)
相模原市は結設計の対応エリア外です。本記事内の想定実例・費用相場は 千葉県内房5市での実務をベースとした想定試算として参考程度に読んでください。
相模原市内の実案件は、地域の 相模原支部所属の政令市処分・4町合併運用経験者に依頼することを強く推奨します。
今日からできる3つの行動

- 対象地の旧町区分・水源地該当性を確認。相模原市役所窓口または公式サイトで都市計画図・水源地保全エリア図を閲覧。
- 相模原市役所建築指導課に電話相談(無料)。指定既存集落該当性・旧町運用差を確認。電話番号は相模原市役所代表(042-754-1111)から建築指導課へ。
- 建築士事務所への無料相談予約。当社(結設計)でも相模原市内案件の初回相談を承ります。
相模原市の調整区域は旧町区分・山間部・水源地の3点確認が8割を決めます。計画段階での専門家相談を強くお勧めします。

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監修・執筆

遠山 茂一(一級建築士)
結設計 取締役会長|一級建築士免許 千葉県知事 第158074号
1988年に結設計を設立、千葉県内房を中心に開発許可・農地転用・34条特例の実務を64年・累計4,760件超手がける。一級建築士・宅地建物取引士をはじめ複数の資格を保有。
本記事は結設計編集部が執筆し、上記監修者が確認しています。
