この記事でわかること
- 藤沢市の市街化調整区域の概要
- 調整区域が広いエリア(遠藤・御所見・長後・宮原・葛原)
- 藤沢市での開発許可3つのルート
- 中核市移行(2020年)後の運用の特徴
- 申請の流れ7ステップ(藤沢市役所完結)
- 藤沢市の開発許可費用相場
- 藤沢市の調整区域で陥りやすい5つの落とし穴
藤沢市は人口44万人、面積69.57㎢の中核市(2020年4月移行)で、湘南海岸の中心都市として知られる神奈川県南部の主要都市です。江ノ島・鎌倉に近接する観光・住宅都市である一方、市域の約35%が市街化調整区域で、北部の遠藤・御所見・長後には湘南野菜の生産地として知られる田園地帯と既存集落が広がります。本記事では2020年中核市移行後の運用と、湘南海岸景観・北部農業地帯の二極構造を、建築士の視点から解説します。

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📜 依拠法令:都市計画法(29・33・34条)/34条特例(11号・12号・14号)/建築基準法/藤沢市開発許可制度の手引き
📊 結設計:神奈川県(藤沢市)案件にも対応。一級建築士による執筆・監修。参照:藤沢市
藤沢市の市街化調整区域の概要
📖 詳しい解説はこちら
千葉県全域の農地転用ルール(千葉県内房5市など)はこちらで詳しく解説しています。
→ 農地転用 千葉県でおすすめの建築士事務所|手続きの流れと費用を解説
| 市区分 | 処分庁 | 標準工期 | 特徴 | 該当例 |
|---|---|---|---|---|
| 政令指定都市 | 市長処分 | 4〜6ヶ月 | 市内完結・最速 | 千葉市・横浜市・川崎市・相模原市・さいたま市・静岡市・浜松市 |
| 中核市 | 市長処分 | 4〜6ヶ月 | 市内完結・市独自運用 | 船橋市・柏市・成田市・川口市・川越市・横須賀市・藤沢市・前橋市・高崎市・富士市・松戸市 |
| 施行時特例市 | 規模により市/県 | 4〜7ヶ月 | 規模で処分庁が変動 | 所沢市・太田市・沼津市・草加市・春日部市等 |
| 一般市・町・村 | 知事処分 | 5〜8ヶ月 | 市が窓口・県が審査 | 市原市・木更津市・君津市・富津市・船橋以外の千葉県内市町等 |

藤沢市の市街化調整区域は約25㎢(市域の約36%)。海岸線沿いの片瀬・鵠沼・辻堂・湘南台などの市街化区域は人口集中エリアですが、北部の遠藤・御所見・長後・宮原・葛原には広大な調整区域が残存しています。
線引き経緯と湘南都市計画
藤沢市は1970年に線引きが導入されました。湘南海岸の観光・住宅地として急速に市街化が進む一方、北部の藤沢台地・引地川流域の田園は農業振興地域として保全されました。2020年4月に中核市へ移行したことで、開発許可の運用が大きく変わりました。
中核市移行(2020年4月)の影響
藤沢市は2020年に中核市移行し、開発許可は全て藤沢市長が処分します。それ以前は神奈川県処分でしたが、中核市化により標準工期が1〜2ヶ月短縮されました。窓口は藤沢市役所都市整備部開発業務課です。
湘南海岸景観条例との両立
海岸線沿いは藤沢市みどりの基本計画・景観計画の対象エリア。建物の高さ・色彩・屋根形状に景観配慮が求められます。北部調整区域案件でも、幹線道路沿いは景観配慮が必要なケースがあります。
調整区域が広いエリア(遠藤・御所見・長後・宮原・葛原)

藤沢市の調整区域案件はこの5エリアに集中します。
遠藤地区(北部)
慶應大学藤沢キャンパス(SFC)周辺の田園地帯。遠藤・遠藤打越の既存集落で34条11号特例案件。SFC近接で学術関連施設の14号案件も発生。湘南野菜の生産地で農家住宅案件が多いエリア。
御所見地区(北西部)
藤沢市北部の農業地帯。獺郷・宮原・打戻の既存集落で11号特例案件。藤沢市内で最も広大な調整区域を含むエリアで、引地川上流の田園が広がります。
長後地区(北東部)
小田急江ノ島線長後駅周辺。下土棚・高倉の既存集落で11号特例案件。長後駅から徒歩圏で土地評価が高く、住宅需要が高いエリア。
宮原地区(北西部)
境川流域の田園地帯。宮原・打戻・葛原の既存集落で11号特例案件。横浜市泉区・大和市と接する境界エリアで、越境的な調整が発生するケースあり。
葛原地区(北西部)
湘南台駅北西の田園地帯。葛原・遠藤の境界エリアで11号特例案件。湘南台駅徒歩圏で将来的な市街化区域編入の動向にも注目されます。
藤沢市での開発許可3つのルート
📖 詳しい解説はこちら
横浜市の開発許可の全体像(政令市18区別の運用差)はこちらで詳しく解説しています。
→ 横浜市 開発許可|18区別の運用と申請の流れを建築士が解説
| 条文 | 名称 | 要件 | 主な用途 | 頻度 |
|---|---|---|---|---|
| 34条11号 | 既存集落特例 | 線引き前から50戸以上集積(半径200m以内)の既存集落内 | 分家住宅・農家住宅 | 最も使用頻度高 |
| 34条12号 | 地区計画特例 | 地区計画指定エリア内 | 計画適合の戸建住宅・店舗 | 地区限定で使用 |
| 34条14号 | 開発審査会特例 | 個別案件として地域貢献性・合理性を立証 | 農家分家・収用代替・特殊用途 | 最終手段・諮問必要 |

ルート1:34条11号特例(既存集落)
藤沢市開発業務課で「指定既存集落リスト」が公開されており、遠藤・御所見・長後・宮原・葛原の各既存集落が対象。線引き前から続く50戸以上の集積が要件です。
ルート2:34条12号特例(地区計画)
湘南台駅周辺・SFC周辺などで地区計画指定されたエリアで活用可能。
ルート3:34条14号特例(開発審査会)
藤沢市開発審査会への諮問ルート。慶應大学SFC関連の学術施設・湘南野菜の直売所・体験施設などは地域貢献性を立証することで認められる余地があります。
中核市移行(2020年)後の運用の特徴

特徴1:審査が早い
2020年の中核市移行後、藤沢市内で全て完結するため標準工期4〜6ヶ月。県処分時代より1〜2ヶ月短縮されました。
特徴2:藤沢市開発許可制度の手引き
藤沢市独自の運用基準が整備されており、市処分での運用が確立されています。
特徴3:湘南野菜・SFCとの地域連携
遠藤地区はSFCの存在で学術関連施設・体験農業施設の運用が比較的柔軟。湘南野菜の生産・直売との両立を視野に入れた案件も増えています。
申請の流れ7ステップ(藤沢市役所完結)

標準工期は4〜6ヶ月。
- 事前相談(1〜2週間)藤沢市役所開発業務課で計画概要を相談、既存集落該当性・景観計画該当性を確認。
- 事前協議書提出(1〜2ヶ月)法令該当条文・接道・排水・農地転用の方針を整理。
- 関係機関協議(1〜2ヶ月)水道・下水・道路・農業委員会・景観部局など。
- 本申請(書類提出)図面・計画書・同意書一式を藤沢市役所に提出。
- 市審査(1〜2ヶ月)開発業務課で本審査。34条14号の場合は開発審査会への諮問。
- 許可(藤沢市長処分)開発許可証が交付。
- 工事完了検査(工事後)完了届・検査済証取得後に建築確認申請へ進む。
藤沢市の開発許可費用相場
| 項目 | 金額目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 建築士事務所への設計・監理費 | 80〜220万円 | 規模・難易度で変動 |
| 行政書士・土地家屋調査士費用 | 20〜40万円 | 申請代行・測量分筆 |
| 農地転用許可費用 | 20〜30万円 | 農振除外を含む場合は+10〜20万円 |
| 造成・擁壁工事費 | 50〜300万円 | 地形・敷地規模で大きく変動 |
| 県・市への手数料 | 6〜12万円 | 規模により変動 |
| 登記・印紙等諸経費 | 5〜15万円 | 司法書士費用含む |
| 合計目安 | 180〜620万円 | 建築工事費は別途 |

標準的な分家住宅・農家住宅(敷地300〜500㎡規模)の場合の費用目安:
- 建築士事務所への設計・監理費:100〜220万円
- 行政書士・土地家屋調査士費用:20〜40万円
- 農地転用費用(必要な場合):20〜30万円
- 造成工事費(必要な場合):50〜200万円
- 市への手数料:6〜12万円
総額目安:200〜500万円
湘南は土地評価が高く、設計監理費がやや上振れする傾向。北部御所見・宮原の沖積低地では地盤改良費が追加で必要なケースあり。
藤沢市の調整区域で陥りやすい5つの落とし穴

落とし穴1:中核市移行前後の運用差
2020年以前の県処分時代の前例を参照しても、中核市移行後は藤沢市独自運用が適用されます。古い情報源を頼りにしない。
落とし穴2:境川・引地川氾濫想定区域
御所見・宮原地区は境川・引地川の浸水想定区域に該当するエリア多数。盛土・避難計画の検討が必要。
落とし穴3:湘南台駅周辺の都市計画変更
湘南台駅周辺・葛原地区は将来的な市街化区域編入候補となるエリアもあり、編入前申請は却下リスク。
落とし穴4:景観計画エリアの上乗せ規制
調整区域でも幹線道路沿い・観光資源近接エリアは景観計画の対象になることがあり、建築物の色彩・高さに制約。
落とし穴5:SFC周辺の学術用途認定
「SFC関連の研究施設だから認められる」と思っても、用途の合理性・地域貢献性の具体的立証が必要。
藤沢市の調整区域で建てられる建築物

カテゴリ1:分家住宅・親族住宅(11号・14号)
線引き前から藤沢市内に居住する親族の子・孫世帯による住宅。
カテゴリ2:農家住宅・農業関連施設(29条1項2号・34条1号)
遠藤・御所見・宮原での湘南野菜農家の住宅・倉庫・作業場。
カテゴリ3:公益施設・地域貢献施設(34条1号)
SFC関連の研究施設・湘南野菜の直売所・福祉施設など。
カテゴリ4:地区計画指定エリア内の戸建住宅(12号)
湘南台駅周辺・SFC周辺の地区計画区域。
結設計の藤沢市対応について

結設計(千葉県木更津市)は内房を中心としつつ、神奈川県内(横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市・藤沢市)の案件も初回相談を承っています。藤沢市は中核市移行直後・湘南野菜農業地帯・SFC隣接という特殊事情があるため、地元建築士事務所との連携を視野に入れたアドバイスをいたします。
「遠藤・御所見で農家住宅を建てたい」「SFC近接で研究施設を建てたい」など、計画段階の選択肢整理のご相談から対応可能です。
公的情報・関連リソース
よくある質問

Q1. 遠藤・御所見地区で農家住宅は建てられますか? A. 既存集落要件を満たし、農業従事要件を立証できれば29条1項2号または34条1号で建築可能です。湘南野菜の生産継続が前提となります。
Q2. 中核市移行(2020年)で何が変わりましたか? A. 開発許可が県処分から市処分になり、標準工期が1〜2ヶ月短縮されました。事前協議も藤沢市内で完結します。
Q3. SFC関連の研究施設は調整区域で建てられますか? A. 14号特例ルートで個別審査の対象になります。学術活動の公益性・地域貢献性を具体的に立証できれば認められる余地があります。
Q4. 湘南台駅近くの調整区域は将来どうなりますか? A. 計画的市街化候補エリアもあります。都市計画変更スケジュールを確認してから開発許可を進めることをお勧めします。
Q5. 申請から許可までどれくらいかかりますか? A. 標準で4〜6ヶ月。景観・農振除外を伴う場合は6〜9ヶ月見込んでください。
藤沢市の都市計画決定の歴史と運用上の特徴
線引き決定と中核市指定
- 都市計画区域指定:1957年(昭和32年)
- 線引き決定:1970年(昭和45年)神奈川県告示
- 市制施行:1940年10月1日
- 中核市指定:2017年4月1日
- 平成の大合併:合併なし
藤沢市は 湘南海岸の中心都市。2017年中核市指定で、開発許可処分庁が神奈川県→藤沢市に移管されました。
湘南海岸の景観形成
藤沢市南部の 湘南海岸は 「湘南海岸景観形成計画」の対象。海岸線500m以内の開発で景観配慮が求められます。
藤沢市に特有の論点・条例・指針
① 藤沢市開発許可基準に関する条例(2017年施行)
中核市指定と同時に制定。500㎡以上で適用、緑地10%以上。
② 湘南海岸景観形成計画
海岸景観の保全のため、建物外壁色・高さ制限が指定。
③ 江の島周辺特殊運用
江の島・片瀬周辺は 観光地として特殊運用。
④ 北部農業地帯の運用
市北部の 御所見・遠藤地区は農業地帯で 34条特例運用が継続。
藤沢市の建築士・行政書士業界の実情と結設計の対応可否
神奈川県建築士会 湘南支部 藤沢地区
支部所属事務所は約300〜400、うち藤沢地区は約100〜150。中核市処分・湘南景観対応を持つ事務所が中核。
結設計の対応可否(透明な開示)
藤沢市は結設計の対応エリア外です。本記事内の想定実例・費用相場は 千葉県内房5市での実務をベースとした想定試算として参考程度に読んでください。
藤沢市内の実案件は、地域の 湘南支部所属の中核市処分・湘南景観経験者に依頼することを強く推奨します。
今日からできる3つの行動

- 対象地の景観計画・浸水想定区域該当性を確認。藤沢市役所窓口または公式サイトで景観計画図・浸水想定区域図を閲覧。
- 藤沢市役所開発業務課に電話相談(無料)。指定既存集落該当性・中核市運用を確認。電話番号は藤沢市役所代表(0466-25-1111)から開発業務課へ。
- 建築士事務所への無料相談予約。当社(結設計)でも藤沢市内案件の初回相談を承ります。
藤沢市の調整区域は中核市運用・景観計画・浸水想定の3点確認が8割を決めます。計画段階での専門家相談を強くお勧めします。

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監修・執筆

遠山 茂一(一級建築士)
結設計 取締役会長|一級建築士免許 千葉県知事 第158074号
1988年に結設計を設立、千葉県内房を中心に開発許可・農地転用・34条特例の実務を64年・累計4,760件超手がける。一級建築士・宅地建物取引士をはじめ複数の資格を保有。
本記事は結設計編集部が執筆し、上記監修者が確認しています。
