この記事でわかること
- 富士市の市街化調整区域の概要
- 調整区域が広いエリア(富士山麓・愛鷹山麓・旧富士川町・吉原東部・大渕)
- 富士市での開発許可3つのルート
- 中核市移行(2024年4月)後の運用の特徴
- 申請の流れ7ステップ(富士市役所完結)
- 富士市の開発許可費用相場
- 富士市の調整区域で陥りやすい5つの落とし穴
富士市は人口25万人、面積244.95㎢の中核市(2024年4月移行)で、富士山南麓に位置する静岡県東部の主要都市です。製紙業の街として知られ、2008年の旧富士川町合併により広域化。市域は富士山南麓の傾斜地から駿河湾沿岸まで多様な地形を抱え、世界遺産富士山の構成資産(三保松原など)との景観調整が運用上の特徴です。本記事では2024年中核市移行直後の運用と、富士山世界遺産・製紙業集積・愛鷹山麓の特殊事情を、建築士の視点から解説します。
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📜 依拠法令:都市計画法(29・33・34条)/34条特例(11号・12号・14号)/建築基準法/富士市開発許可制度の手引き/富士山世界遺産景観計画
📊 結設計:静岡県(富士市)案件にも対応。一級建築士による執筆・監修。参照:富士市
富士市の市街化調整区域の概要
| 市区分 | 処分庁 | 標準工期 | 特徴 | 該当例 |
|---|---|---|---|---|
| 政令指定都市 | 市長処分 | 4〜6ヶ月 | 市内完結・最速 | 千葉市・横浜市・川崎市・相模原市・さいたま市・静岡市・浜松市 |
| 中核市 | 市長処分 | 4〜6ヶ月 | 市内完結・市独自運用 | 船橋市・柏市・成田市・川口市・川越市・横須賀市・藤沢市・前橋市・高崎市・富士市・松戸市 |
| 施行時特例市 | 規模により市/県 | 4〜7ヶ月 | 規模で処分庁が変動 | 所沢市・太田市・沼津市・草加市・春日部市等 |
| 一般市・町・村 | 知事処分 | 5〜8ヶ月 | 市が窓口・県が審査 | 市原市・木更津市・君津市・富津市・船橋以外の千葉県内市町等 |

富士市の市街化調整区域は約110㎢(市域の約45%)。市街化区域は富士駅・新富士駅周辺の中心市街地と東海道沿線・製紙業工場集積エリアに限定され、富士山麓・愛鷹山麓・旧富士川町・吉原東部が調整区域として運用されています。
線引き経緯と富士川町合併の影響
富士市は1971年に線引きが導入されました。2008年に旧富士川町を編入し、富士川左岸の田園地帯が市域に加わりました。旧富士川町の都市計画運用ルールは富士市本体と部分的に異なります。
2024年中核市移行の影響
富士市は2024年4月に中核市移行し、開発許可は全て富士市長が処分に統一されました。それ以前は施行時特例市として規模別処分でしたが、中核市化により全規模が市内完結となり標準工期が1〜2ヶ月短縮されました。
富士山世界遺産との景観調整
富士山は世界文化遺産(2013年登録)で、富士市内には三保松原など構成資産があります。世界遺産バッファーゾーン内の調整区域では、景観配慮・眺望保全が運用上の追加要件となります。
調整区域が広いエリア(富士山麓・愛鷹山麓・旧富士川町・吉原東部・大渕)

富士市の調整区域案件はこの5エリアに集中します。
富士山麓地区(北部)
富士山南麓の傾斜地。富士・大渕・須津の集落で34条11号特例案件。富士山世界遺産バッファーゾーンに該当するエリアでは景観配慮が必要。
愛鷹山麓地区(西部)
愛鷹山南東麓の茶業・農業地帯。原田・厚原の既存集落で11号特例案件。茶業従事者向け住宅・作業場案件が中心。
旧富士川町地区(西部)
旧富士川町エリア。富士川左岸の田園地帯。中之郷・木島・松野の既存集落で11号特例案件。旧富士川町時代の運用が部分的に継承されています。
吉原東部地区(東部)
吉原中心街東部の田園地帯。今泉・伝法の既存集落で11号特例案件。沼津市との市境エリアで、越境的な調整も発生。
大渕地区(北部)
富士山南麓の里山地帯。大渕・神戸の既存集落で11号特例案件。富士山眺望地点に該当するエリアあり。
富士市での開発許可3つのルート
| 条文 | 名称 | 要件 | 主な用途 | 頻度 |
|---|---|---|---|---|
| 34条11号 | 既存集落特例 | 線引き前から50戸以上集積(半径200m以内)の既存集落内 | 分家住宅・農家住宅 | ★★★ 最も使用頻度高 |
| 34条12号 | 地区計画特例 | 地区計画指定エリア内 | 計画適合の戸建住宅・店舗 | ★★ 地区限定で使用 |
| 34条14号 | 開発審査会特例 | 個別案件として地域貢献性・合理性を立証 | 農家分家・収用代替・特殊用途 | ★ 最終手段・諮問必要 |

ルート1:34条11号特例(既存集落)
富士市開発指導課で「指定既存集落リスト」が公開されており、旧富士市と旧富士川町で別々に整備されています。
ルート2:34条12号特例(地区計画)
富士駅周辺・新富士駅周辺で地区計画指定されたエリアで活用可能。
ルート3:34条14号特例(開発審査会)
富士市開発審査会への諮問ルート。富士山観光関連施設・茶業関連施設は地域貢献性立証で認められる余地があります。
中核市移行(2024年4月)後の運用の特徴

特徴1:審査が早い
2024年4月の中核市移行後、富士市内で全規模が完結するため標準工期4〜6ヶ月。それ以前の施行時特例市時代(規模別処分)より1〜2ヶ月短縮されました。
特徴2:富士山世界遺産との並行協議
世界遺産バッファーゾーン内の案件は、景観部局・文化財部局との並行協議が必要。建物の高さ・色彩・屋根形状に景観配慮が求められます。
特徴3:旧富士川町の運用ルール
旧富士川町エリアは合併前の運用が部分的に継承。対象地の旧自治体確認が重要です。
申請の流れ7ステップ(富士市役所完結)

標準工期は4〜6ヶ月。
- 事前相談(1〜2週間)富士市役所開発指導課で計画概要を相談、旧自治体区分・既存集落該当性・世界遺産バッファー該当性を確認。
- 事前協議書提出(1〜2ヶ月)法令該当条文・接道・排水・農地転用の方針を整理。
- 関係機関協議(1〜2ヶ月)水道・下水・道路・農業委員会・景観/文化財部局など。
- 本申請(書類提出)図面・計画書・同意書一式を富士市役所に提出。
- 市審査(1〜2ヶ月)開発指導課で本審査。34条14号の場合は開発審査会への諮問。
- 許可(富士市長処分)開発許可証が交付。
- 工事完了検査(工事後)完了届・検査済証取得後に建築確認申請へ進む。
富士市の開発許可費用相場
| 項目 | 金額目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 建築士事務所への設計・監理費 | 80〜220万円 | 規模・難易度で変動 |
| 行政書士・土地家屋調査士費用 | 20〜40万円 | 申請代行・測量分筆 |
| 農地転用許可費用 | 20〜30万円 | 農振除外を含む場合は+10〜20万円 |
| 造成・擁壁工事費 | 50〜300万円 | 地形・敷地規模で大きく変動 |
| 県・市への手数料 | 6〜12万円 | 規模により変動 |
| 登記・印紙等諸経費 | 5〜15万円 | 司法書士費用含む |
| 合計目安 | 180〜620万円 | 建築工事費は別途 |

標準的な分家住宅・農家住宅(敷地300〜500㎡規模)の場合の費用目安:
- 建築士事務所への設計・監理費:90〜200万円
- 行政書士・土地家屋調査士費用:20〜40万円
- 農地転用費用(必要な場合):20〜30万円
- 造成工事費(必要な場合):80〜300万円
- 市への手数料:6〜12万円
総額目安:220〜580万円
富士山麓・愛鷹山麓の傾斜地では擁壁・造成費が大きく発生。世界遺産バッファーゾーン内では景観配慮の追加設計コストが10〜30万円上振れする傾向。
富士市の調整区域で陥りやすい5つの落とし穴

落とし穴1:中核市移行前後の運用差
2024年以前の施行時特例市時代の前例を参照しても、中核市移行後は富士市独自運用が適用されます。
落とし穴2:富士山世界遺産バッファーゾーンの規制
世界遺産関連の景観配慮を見落とすと、屋根形状・色彩で再協議になるケースあり。
落とし穴3:旧富士川町の運用差
旧富士川町は合併前の運用が部分的に継承。富士市本体ルールと混同して差し戻しになるケースあり。
落とし穴4:富士山麓・愛鷹山麓の傾斜地造成
傾斜地では擁壁・造成費が想定の1.5〜2倍になるケース。
落とし穴5:田子の浦港・製紙業集積エリアの調整
田子の浦港・製紙業工場周辺は特定工作物許可・環境配慮との並行協議が必要なケースあり。
富士市の調整区域で建てられる建築物

カテゴリ1:分家住宅・親族住宅(11号・14号)
線引き前から富士市内に居住する親族の子・孫世帯による住宅。
カテゴリ2:農家住宅・農業関連施設(29条1項2号・34条1号)
富士山麓・愛鷹山麓の茶業従事者向け住宅・作業場、旧富士川町の農家住宅。
カテゴリ3:公益施設・地域貢献施設(34条1号)
富士山観光関連施設・福祉施設など。
カテゴリ4:地区計画指定エリア内の戸建住宅(12号)
富士駅・新富士駅周辺の地区計画区域。
結設計の富士市対応について

結設計(千葉県木更津市)は内房を中心としつつ、静岡県内(静岡市・浜松市・沼津市・富士市)の案件も初回相談を承っています。富士市は2024年中核市移行直後・富士山世界遺産・旧富士川町合併という特殊事情があるため、地元建築士事務所との連携を視野に入れたアドバイスをいたします。
「富士山麓で家を建てたい」「茶業関連施設を建てたい」「旧富士川町エリアで建てたい」など、計画段階の選択肢整理のご相談から対応可能です。
公的情報・関連リソース
よくある質問

Q1. 富士山麓で住宅は建てられますか? A. 既存集落要件を満たせば建築可能です。世界遺産バッファーゾーン内なら景観配慮が必要となります。
Q2. 中核市移行(2024年)で何が変わりましたか? A. それまでは施行時特例市として規模別処分でしたが、中核市化により全規模が市内完結となり、標準工期が1〜2ヶ月短縮されました。
Q3. 富士山世界遺産バッファーゾーンの規制は? A. 屋根形状・色彩・高さに景観配慮が求められます。事前に対象地のバッファーゾーン該当性を確認。
Q4. 旧富士川町と旧富士市の運用差はどう確認しますか? A. 富士市役所開発指導課に対象地の住所を伝えれば、旧自治体区分と適用される運用ルールを教えてもらえます。
Q5. 申請から許可までどれくらいかかりますか? A. 標準で4〜6ヶ月。景観・農振除外・文化財協議を伴う場合は7〜10ヶ月見込んでください。
今日からできる3つの行動

- 対象地の旧自治体・世界遺産バッファー該当性を確認。富士市役所窓口または公式サイトで都市計画図・景観計画図を閲覧。
- 富士市役所開発指導課に電話相談(無料)。指定既存集落該当性・中核市運用を確認。電話番号は富士市役所代表(0545-55-2700)から開発指導課へ。
- 建築士事務所への無料相談予約。当社(結設計)でも富士市内案件の初回相談を承ります。
富士市の調整区域は中核市運用・世界遺産バッファー・旧富士川町の3点確認が8割を決めます。計画段階での専門家相談を強くお勧めします。
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監修・執筆

遠山 茂一(一級建築士)
結設計 取締役会長|一級建築士免許 千葉県知事 第158074号
1988年に結設計を設立、千葉県内房を中心に開発許可・農地転用・34条特例の実務を64年・累計4,760件超手がける。一級建築士・宅地建物取引士をはじめ複数の資格を保有。
本記事は結設計編集部が執筆し、上記監修者が確認しています。
