この記事でわかること
- 農地転用は自分でできるのか
- 農地転用の3つの許可ルート(3条・4条・5条)
- 自分でできる手続きと専門家に頼むべき手続き
- 自分で農地転用申請する流れ7ステップ
- 必要書類と準備のポイント
- 農地転用にかかる費用相場
- よくある却下事例5つと対処法
「農地転用は自分でできるのか?」「専門家に頼まないと無理なのか?」と疑問を持つ方は非常に多いです。結論から言うと、3条許可(農地の所有者変更)は自分で可能、4条・5条許可(転用・売買転用)は条件次第で自分でも可能ですが、農用地区域(青地)除外・開発許可併用が必要なケースは専門家依頼を強くお勧めします。当社(千葉県木更津市の結設計)は累計4,760件超の農地転用案件を担当してきました。
本記事では農地転用を自分でできるケースとできないケースを、建築士の視点から実務に沿って解説します。
ご相談は無料で承ります

メールでお問い合わせ希望の方は
『メールフォーム』からご連絡ください。
📜 依拠法令:都市計画法(29・33・34条)/34条特例(11号・12号・14号)/建築基準法/千葉県開発許可事務取扱要綱
📊 結設計:農地転用案件全般に対応。一級建築士による執筆・監修。参照:国土交通省
農地転用は自分でできるのか

結論:3条許可は自分で可能、4条・5条許可は条件次第で可能です。ただし、無理に自分で進めると却下・補正の手戻りが多発するケースもあるため、案件の難易度を見極めることが重要です。
農地法3条・4条・5条の違い
- 3条許可:農地の所有者を変更する場合(売買・贈与・交換等)。農地のまま使う前提。
- 4条許可:自己の農地を農地以外(宅地・駐車場等)に転用する場合。
- 5条許可:他人の農地を取得して転用する場合(売買+転用)。
自分で申請できるかの目安
| ケース | 自分でできるか | 難易度 |
|---|---|---|
| 3条許可(農地のまま売買) | 可能 | ★(簡単) |
| 4条許可(自己農地転用・白地) | 可能 | ★★(中) |
| 5条許可(他人農地転用・白地) | 条件付き | ★★★(やや難) |
| 農用地区域(青地)の解除+転用 | 困難 | ★★★★(難) |
| 開発許可併用案件 | 困難 | ★★★★★(極難) |
自分で申請するメリット・デメリット
メリット:行政書士費用(20〜30万円)が浮く。手続き理解が深まる。
デメリット:書類不備・補正対応で時間がかかる。農業委員会・各種関係機関との折衝が必要。複雑案件は許可が下りないリスクあり。
農地転用の3つの許可ルート(3条・4条・5条)
| 条文 | 名称 | 要件 | 主な用途 | 頻度 |
|---|---|---|---|---|
| 34条11号 | 既存集落特例 | 線引き前から50戸以上集積(半径200m以内)の既存集落内 | 分家住宅・農家住宅 | ★★★ 最も使用頻度高 |
| 34条12号 | 地区計画特例 | 地区計画指定エリア内 | 計画適合の戸建住宅・店舗 | ★★ 地区限定で使用 |
| 34条14号 | 開発審査会特例 | 個別案件として地域貢献性・合理性を立証 | 農家分家・収用代替・特殊用途 | ★ 最終手段・諮問必要 |

それぞれの許可ルートの内容を整理します。
3条許可(所有者変更)
農地を農地のまま売買・贈与する場合の許可。買主側に「農業従事者要件」が課されます:
- 下限面積(耕作面積要件):原則50a(5,000㎡)以上を耕作している(市町村で別途設定可)
- 農業従事日数:年間60日以上
- 全部効率利用:取得後の農地を効率的に利用すること
これらをクリアする必要があり、サラリーマンによる農地取得はほぼ不可能です。
4条許可(自己農地転用)
自分が所有する農地を、宅地・駐車場等に転用する場合の許可。「自己利用」のため5条よりはハードルが低い。市町村の農業委員会が窓口です。
5条許可(売買転用)
他人の農地を取得して転用する場合の許可。最も多いパターン。売主と買主の連名申請で、農業委員会経由で都道府県知事処分です(市町村が処分庁の場合あり)。
自分でできる手続きと専門家に頼むべき手続き

実務上、自分でできるラインと専門家依頼が推奨されるラインを整理します。
自分でできるケース
- 3条許可(農業者間の売買):相手方が農業従事者要件を満たし、書類が揃っていれば比較的シンプル。
- 4条許可(自己農地・白地・小規模):自分の農地で、農振除外不要(白地)、転用面積が小規模(駐車場・倉庫等)の場合。
- 5条許可(白地・住宅):白地で農振除外不要、住宅一戸など単純案件であれば自分でも可能。
専門家依頼が推奨されるケース
- 農用地区域(青地)の解除を伴う案件:農振除外手続きは複雑で、市町村の農政担当課との折衝が必要。失敗すると半年〜1年の手戻り。
- 開発許可と並行する案件:調整区域の住宅建築など、農地転用と開発許可を同時に進める案件。
- 大規模転用(1ha超):県知事処分案件で、関係機関協議が多数発生。
- 市街化区域でも届出から行う集合住宅・施設:建築規模が大きい案件。
専門家への依頼費用相場
- 行政書士:20〜30万円(4条・5条許可の場合)
- 土地家屋調査士:15〜25万円(測量・分筆必要時)
- 建築士事務所:30〜80万円(開発許可併用時のコーディネート)
自分で農地転用申請する流れ7ステップ

自分で5条許可(売買転用)を行う場合の標準的な流れは以下7ステップです。
- 事前相談(1〜2週間)市町村役場の農業委員会で計画概要を相談、対象農地の区分(青地・白地)を確認。
- 農振除外手続き(必要な場合、6ヶ月〜1年)青地の場合、農業振興地域整備計画から除外する手続きを並行で進行。
- 書類準備(1〜2ヶ月)申請書・図面・登記事項証明書・公図・契約書類などを揃える。
- 農業委員会への申請(毎月の締切あり)申請書一式を農業委員会に提出。
- 農業委員会審議(1〜2ヶ月)月1回の総会で審議。
- 都道府県知事処分(市町村処分の場合あり)(1〜2ヶ月)農業委員会の意見を踏まえて知事が処分。
- 許可証受領(2〜3週間)許可後、登記手続きへ。
白地の住宅一戸など単純案件なら3〜4ヶ月、青地解除を伴う複雑案件なら1〜2年かかります。
必要書類と準備のポイント

自分で5条許可申請する場合に必要な書類リストです。
必須書類
- 農地法第5条の規定による許可申請書(市町村指定様式)
- 土地の登記事項証明書(法務局で取得)
- 公図(法務局で取得)
- 土地利用計画図(造成図・建物配置図)
- 被害防除計画書(周辺農地への影響対策)
- 転用に係る資金計画書(資金力の証明)
- 売買契約書の写し(5条許可の場合)
- 権利者全員の同意書(共有名義の場合)
添付書類(ケースによる)
- 排水計画図・取水計画図
- 隣接農地所有者の同意書
- 建物の平面図・立面図
- 土地改良区の意見書(土地改良区内の場合)
- 関係法令の許可・届出書類(森林法・自然公園法等)
準備のポイント
①書類は市町村の様式に従う。同じ農地法でも市町村ごとに様式・添付書類が違うため、必ず事前相談で確認。
②被害防除計画書は具体的に。「周辺農地に影響なし」だけでは不十分。排水対策・農薬飛散対策・進入路の確保まで具体的に記載。
③資金計画書は資金力を立証。預金通帳の写し・融資内定書などで支払能力を示す。
農地転用にかかる費用相場
| 項目 | 金額目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 建築士事務所への設計・監理費 | 80〜220万円 | 規模・難易度で変動 |
| 行政書士・土地家屋調査士費用 | 20〜40万円 | 申請代行・測量分筆 |
| 農地転用許可費用 | 20〜30万円 | 農振除外含む場合は+10〜20万円 |
| 造成・擁壁工事費 | 50〜300万円 | 地形・敷地規模で変動 |
| 県・市への手数料 | 6〜12万円 | 規模により変動 |
| 登記・印紙等諸経費 | 5〜15万円 | 司法書士費用含む |
| 合計目安 | 180〜620万円 | 建築工事費は別途 |

自分で農地転用申請する場合の費用目安を整理します。
自分で申請する場合
- 登記事項証明書・公図取得費:数千円
- 印鑑証明書・住民票:数百円
- 測量費(必要な場合):15〜25万円
- 農地転用許可手数料:無料(多くの市町村)
- 登記手続き費用(司法書士):5〜15万円
- 造成・整備工事費:50〜200万円
自分で申請する場合の総額目安:70〜250万円(造成規模次第)
専門家依頼する場合
上記に加えて:
- 行政書士費用:20〜30万円
- 土地家屋調査士費用:15〜25万円(測量・分筆必要時)
専門家依頼の場合の総額目安:100〜310万円
費用を抑える3つのコツ
- 3条許可で済む案件は自分で(農業従事者間の売買等)
- 白地・単純4条案件は自分で(自己農地の小規模転用)
- 青地・開発許可併用案件は専門家依頼(時間とコストのバランス)
よくある却下事例5つと対処法

自分で農地転用申請してよくある却下・補正パターンを整理します。
却下事例1:農用地区域(青地)を見落とした
「白地だと思った農地」が実は農用地区域(青地)で、転用許可前に農振除外が必要だったケース。対処法:申請前に市町村の農政担当課で青地・白地の確認を必ず実施。
却下事例2:被害防除計画書が不十分
「周辺に影響なし」とだけ書いて却下されるケース。対処法:排水・進入路・農薬飛散・日照・騒音の5項目を具体的に記載。
却下事例3:資金計画の立証不足
預金残高・融資内定が示せず、資金力に疑義が生じるケース。対処法:通帳写し・融資内定書・建築見積書を添付。
却下事例4:転用後の用途が不明確
「住宅を建てる」だけで、具体的な建築計画が示せないケース。対処法:建物平面図・配置図・着工予定日を明示。
却下事例5:書類の不備・記入漏れ
市町村様式の細かい記載要件を見落とすケース。対処法:申請前に市町村窓口で書類事前チェックを依頼(多くの市町村で実施)。
自分で申請するか専門家依頼するかの判断基準

実務上の判断フローを整理します。
自分で申請を推奨するケース
- 3条許可(農業者間売買)
- 4条許可(自己農地・白地・小規模・単純)
- 5条許可(白地・住宅一戸・単純)
- 時間に余裕がある(手戻り対応が可能)
- 書類作成に抵抗がない(行政手続き経験あり)
専門家依頼を推奨するケース
- 青地解除を伴う案件
- 開発許可と並行する案件
- 1ha以上の大規模転用
- 共有名義・相続未了の権利関係複雑案件
- 建築工事のスケジュール優先で時間を買いたい場合
判断のコツ
「自分でやれそう」と思っても、事前相談で農業委員会の窓口担当者の反応を見ることが重要。窓口担当者が「複雑ですね」「事前協議が必要です」と言うレベルの案件は、専門家依頼が結果的に時間・コストを抑えるケースが多いです。
結設計の農地転用対応について

結設計(千葉県木更津市)は累計4,760件超の農地転用・開発許可案件を担当してきました。一級建築士による設計・監理と、提携行政書士・土地家屋調査士による申請業務をパッケージでお引き受け可能です。
千葉県内全域(千葉市・船橋市・柏市・成田市・市原市・木更津市・君津市・市川市等)に対応し、青地解除・開発許可併用・開発審査会案件など複雑な農地転用案件にも実績があります。「自分でやれるか」の事前相談も無料で承ります。
公的情報・関連リソース
よくある質問

Q1. 農地転用は本当に自分でできますか? A. 3条・4条・5条の単純案件であれば可能です。ただし青地解除・開発許可併用・大規模案件は専門家依頼を強くお勧めします。
Q2. 行政書士に頼む費用相場は? A. 4条・5条許可で20〜30万円が一般的です。青地解除を含む場合は追加で10〜20万円。
Q3. 申請から許可までどれくらいかかりますか? A. 単純な5条案件で3〜4ヶ月、青地解除を伴う場合は1〜2年。農業委員会の総会が月1回なので、書類提出のタイミングが重要です。
Q4. 農地転用と開発許可は同じものですか? A. 違います。農地転用は農地法、開発許可は都市計画法に基づく別の手続きで、調整区域の住宅建築では両方を並行で進める必要があります。
Q5. 自分で申請して却下されたら? A. 補正指示の場合は書類を直して再提出、却下の場合は申請取下げ・再申請になります。手戻りで半年〜1年遅れるケースもあるため、不安な場合は事前相談を活用してください。
今日からできる3つの行動

農地転用を自分で進めるか、専門家依頼するかを判断するために、今日から実行できる3つの行動を提案します。
- 対象市町村の農業委員会に電話相談(無料)。対象農地が「青地・白地」のどちらか、どの許可ルート(3条・4条・5条)が該当するかを確認。
- 農地基本台帳の閲覧。市町村役場で対象農地の現況・用途区分を確認。
- 建築士事務所への無料相談予約。当社(結設計)でも農地転用案件の初回相談は無料で承ります。「自分でやれるか」「専門家依頼が必要か」の判断材料を整理してご案内します。
農地転用は事前相談の段階で8割が決まります。書類を出してから「青地でした」「開発許可も必要でした」と判明すると半年〜1年の手戻りになるため、計画段階での確認を強くお勧めします。
ご相談は無料で承ります

メールでお問い合わせ希望の方は
『メールフォーム』からご連絡ください。
関連記事
- 開発許可とは?流れ・費用・調整区域の特例を建築士が解説
- 市街化調整区域 開発許可|34条特例・流れ・費用を建築士が解説
- 千葉市 市街化調整区域 開発許可|緑区・若葉区の運用
- 市街化調整区域に家を建てる|34条特例と建築方法
外部リンク(権威ソース)
監修・執筆

遠山 茂一(一級建築士)
結設計 取締役会長|一級建築士免許 千葉県知事 第158074号
1988年に結設計を設立、千葉県内房を中心に開発許可・農地転用・34条特例の実務を64年・累計4,760件超手がける。一級建築士・宅地建物取引士をはじめ複数の資格を保有。
本記事は結設計編集部が執筆し、上記監修者が確認しています。
