結論:農地を「あげます(無償譲渡)」するには 農地法3条許可が必須です。引き取り手の選択肢は4つ:近隣農家・農地バンク・親族・隣地所有者。引き取り手が見つからない場合は 相続土地国庫帰属制度(2023年4月開始)で国に引き取ってもらう道もあります。費用は登記・税金込みで 30〜80万円、贈与税は受贈者側に課税(受贈者が農家なら納税猶予あり)。
この記事でわかること
- 農地を無償譲渡できる 4つのルート(農家・農地バンク・親族・隣地)
- 農地法3条許可の手続きの流れ7ステップ
- 引き取り手が見つからない場合の 相続土地国庫帰属制度の活用
- 無償譲渡にかかる費用(登記・贈与税・委員会手数料)
- 結設計の千葉県内房5市での実務知見から3パターンの想定実例
- 失敗しやすい4つのミスと回避方法
ご相談は無料で承ります

メールでお問い合わせ希望の方は
『メールフォーム』からご連絡ください。
農地「あげます」結論サマリー
| 必須手続き | 農地法3条許可(市町村農業委員会) |
|---|---|
| 引き取り手の条件 | 農家要件(耕作面積50a以上または認定農業者等)が原則必要 |
| 4つのルート | 近隣農家/農地バンク/親族/隣地所有者 |
| 標準期間 | 事前協議1ヶ月+3条許可1〜2ヶ月+登記移転2週間=合計3〜4ヶ月 |
| 費用相場 | 行政書士・司法書士費 20〜50万円+登録免許税+贈与税(受贈者側) |
| 引取り不可の場合 | 相続土地国庫帰属制度(2023年4月開始)で国に引き取ってもらう |
| 初手アクション | 市町村の 農業委員会で引き取り手の有無と3条許可可能性を照会(無料・30分) |
農地転用の基礎から学びたい方はこちら
農地をあげる4つのルート

農地の無償譲渡には4つのルートがあります。引き取り手の探しやすさ・許可の通りやすさ・税金の負担が異なります。
ルート1:近隣農家への譲渡
最も自然で許可が通りやすいルート。受贈者は 農家要件(耕作面積50a以上または認定農業者)を満たす必要あり。地域コミュニティの中で探すのが基本。JA農協の支店に相談すると引き取り手を紹介してもらえることがあります。
ルート2:農地バンク(農地中間管理機構)への貸付
厳密には「あげる」ではなく 「貸す」。所有権はあなたに残るが、農地バンクが借り手を探し、10年以上の長期貸付契約。固定資産税の軽減特例+賃料収入。詳細は 農地バンクの活用を参照。
ルート3:親族への譲渡
子・甥姪・兄弟姉妹など親族への譲渡。農地法3条許可が必須(親族間でも省略不可)。親族間贈与は税務署の調査対象になりやすいため、適正な贈与契約書の作成が重要。
ルート4:隣地所有者への譲渡
隣接する農地所有者(既に農家要件を満たす)への譲渡。耕作の一体化により農業効率が上がるため、農業委員会の許可が通りやすい。境界確定が事前に必要。
無償譲渡の流れ7ステップ

- 事前相談:市町村の農業委員会で3条許可可能性と引き取り手候補を照会
- 引き取り手の確定:近隣農家・農地バンク・親族・隣地所有者から選定
- 境界確定・現況測量:土地家屋調査士に依頼(30〜70万円)
- 贈与契約書の作成:行政書士に依頼(5〜10万円)
- 農地法3条許可申請:毎月15日前後の締切で農業委員会に提出
- 3条許可指令書の受領:審査1〜2ヶ月後
- 所有権移転登記:司法書士に依頼(5〜10万円+登録免許税)
引き取り手が見つからない時の選択肢

選択肢1:相続土地国庫帰属制度(2023年4月開始)
相続した不要な土地を 国に引き取ってもらえる新制度。農地も対象。負担金は10万円〜(土地状態で増額)。要件として境界確定済み・抵当権なし・土壌汚染なし等。法務局で申請します。
選択肢2:農地以外への転用後に処分
農地法5条許可で 宅地・駐車場等に転用すれば、農家要件のない一般人にも譲渡可能。市街化区域内農地は届出制で短期間で転用可能。市街化調整区域は開発許可も必要で大規模工事になります。
選択肢3:相続放棄(家庭裁判所、3ヶ月以内)
すべての相続財産を放棄する手続き。農地だけ放棄することはできず、預貯金・自宅も含めて全放棄になる点に注意。詳細は 農地の相続放棄を参照。
無償譲渡にかかる費用

| 費用項目 | 金額目安 | 負担者 |
|---|---|---|
| 行政書士報酬(3条許可申請) | 10〜20万円 | 譲渡者または受贈者 |
| 司法書士報酬(登記移転) | 5〜10万円 | 受贈者が一般的 |
| 土地家屋調査士(境界確定) | 30〜70万円 | 譲渡者 |
| 登録免許税(贈与の場合) | 固定資産税評価額×2% | 受贈者 |
| 贈与税 | 110万円基礎控除超で課税 | 受贈者 |
| 農業委員会手数料 | 数百〜数千円 | 譲渡者 |
| 合計目安 | 30〜80万円 |
受贈者が 認定農業者なら贈与税の納税猶予制度を活用可能。納税猶予期間中の死亡や継続営農で免除されるケースもあります。
千葉県内房5市での想定実例3パターン

下記は結設計が 千葉県内房5市(木更津・君津・袖ケ浦・市原・富津)と千葉市で64年・累計4,760件超の実務をベースとした想定実例です。
想定パターン1:木更津市・近隣農家への500㎡無償譲渡
- 想定期間:約3ヶ月(事前協議1ヶ月+3条許可1ヶ月+登記1ヶ月)
- 想定費用:行政書士10万円+司法書士5万円+登録免許税1万円+境界確定30万円=約46万円
- 論点:JAきみつ経由で近隣農家を紹介、地元コミュニティの協力でスムーズ完結
想定パターン2:袖ケ浦市・農地バンク経由の長期貸付(10年)
- 想定期間:約2ヶ月(農地バンク登録+借り手マッチング)
- 想定費用:行政書士5〜10万円+諸経費5万円=約10〜15万円
- 論点:所有権は維持、固定資産税軽減+年間賃料5万円程度の収入
想定パターン3:市原市・相続土地国庫帰属制度活用(500㎡)
- 想定期間:約6〜9ヶ月(境界確定3ヶ月+法務局審査3〜6ヶ月)
- 想定費用:負担金20万円+行政書士30万円+境界確定50万円=約100万円
- 論点:引き取り手が見つからない放置農地、国庫帰属で完全処分
誰に何を頼むか(役割分担と報酬目安)

| 役割 | 担う人 | 報酬目安 |
|---|---|---|
| 譲渡者(法的責任) | 本人(土地所有者) | ― |
| 3条許可申請書類作成 | 行政書士 | 10〜20万円 |
| 贈与契約書作成 | 行政書士/司法書士 | 5〜10万円 |
| 所有権移転登記 | 司法書士 | 5〜10万円+登録免許税 |
| 境界確定測量 | 土地家屋調査士 | 30〜70万円 |
| 贈与税の申告 | 税理士または本人 | 5〜10万円 |
| 引き取り手探し | JA農協/農業委員会/自分 | 無料 |
| 相続土地国庫帰属の総合監理 | 行政書士(経験者) | 30〜50万円 |
失敗しやすい4つのミス

ミス1:受贈者の農家要件を確認せずに進める
農地法3条の最大ハードルは 受贈者の農家要件。耕作面積50a未満の方に農地のまま譲渡できません。事前に農業委員会で受贈者の要件確認が必須。
ミス2:贈与税の見落とし
無償だから税金がない、は誤り。受贈者に贈与税が課税されます(年間110万円基礎控除超)。事前に税理士に試算依頼を。
ミス3:境界未確定のまま進めて後でトラブル
農地は登記面積と現況面積が異なるケース多発。境界確定測量を済ませてから譲渡が鉄則。
ミス4:相続放棄のタイミングを逃す
相続放棄は 相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所への申述が必須。期限を過ぎると単純承認とみなされ、農地以外の財産も含めて引き継ぐことに。
よくある質問(FAQ)

Q. 農地は本当にタダであげられるのですか?
A. 条件付きで可能です。農地法3条の許可(市町村農業委員会)があれば、無償譲渡(贈与)できます。ただし受贈者側が 農家要件(耕作面積50a以上等)を満たす必要があります。要件を満たさない一般の方には農地のまま譲渡できません。
Q. 引き取り手が見つからない時はどうすればいいですか?
A. 3つの選択肢があります。①農地バンク(農地中間管理機構)に登録して借り手を探す、②相続土地国庫帰属制度(2023年4月開始)で国に引き取ってもらう(負担金10万円〜)、③農地以外への転用後(農地法5条許可)に処分を試みる。
Q. 農地をあげる時の税金は誰が払いますか?
A. 贈与税は受贈者(もらう側)が払います。年間110万円の基礎控除内なら非課税。ただし農地の評価額が低いため、基礎控除内に収まるケースが多いです。受贈者が認定農業者なら 納税猶予制度で大幅軽減も可能です。
Q. 近所の農家にあげる場合の手続きは?
A. ①事前に 農業委員会で3条許可の見通し確認、②贈与契約書の作成、③3条許可申請(毎月15日締切等)、④許可指令書受領、⑤所有権移転登記、の流れです。期間は約3ヶ月、費用は行政書士・司法書士込みで20〜30万円が目安です。
Q. 農地バンクへの登録は無料譲渡ですか?
A. 無償譲渡ではなく無償または有償の貸付です。所有権はあなたに残ったまま、農地中間管理機構が借り手を探して10年以上の長期貸付契約を結びます。固定資産税の軽減特例も活用可能。
Q. 相続土地国庫帰属制度で農地は引き取ってもらえますか?
A. 引き取ってもらえます。2023年4月開始の新制度で、相続した不要な土地(農地含む)を国に引き取ってもらえます。負担金は 10万円〜(土地状態により増額)。境界確定済み・抵当権なし等の要件はあります。
Q. 親族に農地をあげる場合も農業委員会の許可が必要ですか?
A. 必要です。親族間でも農地法3条許可は必須。ただし親族間で農業経営を引き継ぐ場合は、農業委員会の判断が柔軟になる傾向があります。事前相談推奨。
Q. 無償譲渡と相続放棄はどちらが得ですか?
A. 状況によります。農地以外の財産も放棄したくない場合は無償譲渡。すべての財産を放棄してもよい場合は相続放棄(家庭裁判所、3ヶ月以内)。農地だけ放棄することはできないのが相続放棄の最大の制約です。
Q. 無償譲渡の途中で気が変わった場合はキャンセルできますか?
A. 3条許可前なら可能です。許可申請を取り下げれば撤回できます。許可後・登記移転後は所有権が移転しているため、再度3条許可を取って戻す必要があります(手間と費用が増大)。慎重に進めるのが鉄則。
農地をあげるために今日からできる3つの行動
- 市町村の農業委員会に事前相談:3条許可可能性と引き取り手候補を無料照会(30分)
- JA農協の支店に引き取り手相談:地域内の認定農業者・耕作面積要件を満たす農家を紹介してもらう
- 行政書士+司法書士のワンストップ事務所に無料相談:3条許可・贈与契約・登記移転を一括対応できる事務所を選ぶ
ご相談は無料で承ります

メールでお問い合わせ希望の方は
『メールフォーム』からご連絡ください。
