この記事でわかること
- 農地バンクの定義(一言で)
- 3者間の仕組み
- 地主のメリット・デメリット
- 借り手のメリット・デメリット
- 利用料金(無料の理由)
- 貸し手・借り手それぞれの手続き
- 2024年農地法改正の影響
- 建築士が見てきたよくある誤解4つ(独自)
「農地を持っているけど耕作できない」「農業を始めたいけど農地が見つからない」と困っていませんか。結論、農地バンク(正式名称:農地中間管理機構)は地主と借り手をマッチングする公的機関で、地主の利用料は無料、借り手は地代だけで効率的に農地を借りられます。私が建築士事務所で農地相続の相談を受ける中で、転用も売却も難しいケースには農地バンクを案内しています。本記事では、仕組みから料金・流れまで初心者向けに解説します。
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農地バンクとは?一言で説明

結論:都道府県に1つ設置された公的機関で、農地の貸し借りを仲介する「農地の中継拠点」です。
1-1. 法的な位置づけ
農地中間管理事業の推進に関する法律(2014年制定)に基づき、各都道府県に「農地中間管理機構」(通称:農地バンク)が設置されています。
1-2. 制度の目的
- 担い手への農地集積(耕作能力のある農家へ集約)
- 耕作放棄地の解消
- 農地利用の効率化
1-3. 全国の機構数
47都道府県に1機構ずつ、計47機構。各都道府県の公益社団法人や公益財団法人が運営しています。
📖 農地転用の全体像は農地転用とは?費用・流れ・許可基準・必要書類の完全ガイドもご参照ください。
農地バンクの仕組み

結論:地主→農地バンク→借り手の3者で貸借契約を結ぶ「中間管理」の仕組みです。
2-1. 3者間の関係
| 関係者 | 役割 |
|---|---|
| 地主(出し手) | 農地を機構に貸す |
| 農地バンク(機構) | 中間で農地を借り受け→他者へ貸し出す |
| 担い手(借り手) | 機構から農地を借りて耕作 |
2-2. 「直接貸借」との違い
| 項目 | 直接貸借 | 農地バンク経由 |
|---|---|---|
| 借り手探し | 自分 | 機構が斡旋 |
| 賃料回収 | 自分 | 機構が代行 |
| 契約管理 | 自分 | 機構が管理 |
| 返還リスク | あり | 機構が責任 |
2-3. 借り手が見つからない場合
機構が一時的に農地を保有し、引き続き借り手を探します。地主には借り手が見つかるまでの間も賃料が支払われない点に注意。
地主のメリットとデメリット

結論:耕作放棄地の解消・賃料収入・税制優遇がメリット、長期契約と返還タイミングがデメリットです。
3-1. メリット5つ
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 利用料無料 | 機構利用は完全無料 |
| 賃料収入 | 年1〜3万円/10aが目安 |
| 耕作放棄地の解消 | 雑草処理の負担軽減 |
| 税制優遇 | 固定資産税の課税標準が1/2に |
| 借り手探し不要 | 機構が斡旋 |
3-2. デメリット3つ
- 長期契約が原則(10年以上が標準)
- 中途解約が困難(やむを得ない場合のみ)
- 借り手が見つかるまで賃料なし
3-3. 適しているケース
- 相続で取得したが耕作する人がいない
- 高齢で自分で耕作できない
- 転用・売却が難しい農地を所有
借り手のメリットとデメリット

結論:効率的な農地集約・優遇措置がメリット、借りる農地の選択肢が限定的という点がデメリットです。
4-1. メリット4つ
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 安定した賃借 | 機構が借り受けるため安心 |
| 集積化 | 分散した農地を集約しやすい |
| 補助金 | 担い手への各種補助金あり |
| 信頼性 | 公的機関が仲介 |
4-2. デメリット2つ
- 対象農地が限定的(地主が機構へ預けたもののみ)
- エリア指定があるケースあり
4-3. 借り手要件
- 農業経営の意欲・能力
- 既存の経営面積要件を満たす
- 農地の効率的利用ができる
利用料金(無料の理由)

結論:地主・借り手ともに機構利用料は無料で、賃料のみが発生します。
5-1. 料金体系
| 関係者 | 機構利用料 | 賃料 |
|---|---|---|
| 地主 | 完全無料 | 受取(年1〜3万円/10a目安) |
| 借り手 | 完全無料 | 支払(同上) |
5-2. 「無料」の財源
機構の運営費は国の補助金で賄われています。地主・借り手の負担なしで運営される仕組み。
5-3. 賃料の相場
| 地域 | 田の賃料目安(10aあたり) | 畑の賃料目安(10aあたり) |
|---|---|---|
| 北海道 | 5,000〜15,000円 | 8,000〜20,000円 |
| 東北 | 8,000〜20,000円 | 12,000〜25,000円 |
| 関東 | 15,000〜35,000円 | 20,000〜40,000円 |
| その他 | 10,000〜25,000円 | 15,000〜30,000円 |
5-4. 税制優遇
地主は固定資産税の課税標準が1/2に減額(10年契約以上の場合)。
貸し手の手続き5ステップ

結論:相談→申請→借り手探し→契約→賃料受取の5段階で2〜6ヶ月かかります。
6-1. ステップ別の流れ
| ステップ | 期間 | 内容 |
|---|---|---|
| ①事前相談 | 1〜2週間 | 都道府県の機構窓口 |
| ②貸付申込書提出 | 1日 | 所定様式で申請 |
| ③借り手探し | 1〜6ヶ月 | 機構が斡旋 |
| ④契約締結 | 1日 | 賃貸借契約 |
| ⑤賃料受取開始 | 半年〜1年ごと | 機構から振込 |
6-2. 提出書類
- 貸付申込書
- 登記事項証明書
- 公図
- 本人確認書類
6-3. 「借り手が見つからない場合」の対応
最大3年程度は機構が探し続けます。それでも見つからない場合、契約は機構が解除し農地は地主に戻ります。
借り手の手続き4ステップ

結論:相談→募集確認→応募→契約の4段階で1〜3ヶ月で借り受けられます。
7-1. ステップ別の流れ
| ステップ | 期間 | 内容 |
|---|---|---|
| ①事前相談 | 1〜2週間 | 機構窓口で要件確認 |
| ②募集農地の確認 | 随時 | 機構ウェブサイト・窓口 |
| ③借受希望申出書提出 | 1日 | 所定様式で申請 |
| ④契約締結 | 1日 | 賃貸借契約 |
7-2. 借り手向け補助金
| 補助金 | 内容 |
|---|---|
| 農地集積協力金 | 一定面積以上の集積 |
| 担い手への配分強化 | 集落単位の集約 |
| 機構関連補助 | 各都道府県の独自補助 |
7-3. 「機構経由」の優先性
機構を経由すると直接借りるより優先的に補助金を受けられるケースがあります。
2024年農地法改正の影響

結論:機構を通じた農地集積を促進するため、地主への報奨金や手続き簡素化が強化されました。
8-1. 改正のポイント
- 機構を介した利用権設定を促進
- 地域計画の策定義務化(市町村)
- 農地集積協力金の増額
8-2. 「目標地図」との連携
各市町村が「目標地図」を作成し、10年後の農地利用計画を明確化。機構はこれに沿って集積を進めます。
8-3. 地主・借り手への影響
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 地主 | 報奨金が増額 |
| 借り手 | 効率的な集積支援 |
| 自治体 | 地域計画策定が必須 |
建築士が見てきたよくある誤解4つ

結論:「料金がかかる・誰でも借りられる・短期で解約できる・転用と併用可」の4つが頻発します。
私が建築士事務所で受けた相談で、特によくある誤解です。
9-1. 誤解①「機構利用料がかかる」
完全無料です。機構の運営費は国の補助金で賄われており、地主・借り手の負担はありません。
9-2. 誤解②「誰でも農地を借りられる」
借り手要件があります。農業経営の意欲・能力・既存経営面積などの審査が必要。新規就農者でも要件を満たせば借りられます。
9-3. 誤解③「短期間で解約できる」
10年以上の長期契約が原則。中途解約は「やむを得ない事由」がある場合のみ認められます。
9-4. 誤解④「機構経由で農地を貸しながら転用もできる」
機構へ預けた農地は耕作目的での貸借であり、転用には機構との協議が必要。基本的に転用前に機構契約を終了する必要があります。
よくある質問(FAQ)
結論:農地バンクに関してよく寄せられる5つの質問にまとめて答えます。
Q1. 農地バンクの料金はいくらですか?
地主・借り手ともに機構利用料は完全無料です。発生するのは賃料のみで、田なら年5,000〜35,000円/10a、畑なら年8,000〜40,000円/10aが地域別の目安です。
Q2. 農地バンクは誰でも借りれるのですか?
借り手要件があります。農業経営の意欲・能力・既存の経営面積要件を満たす必要があります。新規就農者でも要件を満たせば借りられますが、機構の審査を通過する必要があります。
Q3. 農地バンクとは何ですか?
正式名称は「農地中間管理機構」で、都道府県に1つずつ設置された公的機関です。地主と借り手の中間に立って農地の貸借を仲介し、担い手への農地集積・耕作放棄地の解消を目的としています。
Q4. 農地バンクの法律は何ですか?
「農地中間管理事業の推進に関する法律」(2014年制定)が根拠法です。2024年改正で地域計画の策定義務化や農地集積協力金の増額など、機構を通じた集積が強化されました。
Q5. 農地バンクで農地を貸すとどんなメリットがありますか?
主に5つのメリットがあります。①利用料無料 ②賃料収入 ③耕作放棄地の解消 ④固定資産税の課税標準が1/2に減額 ⑤借り手探し・契約管理を機構が代行。
農地バンクを活用するために今日からできる3つの行動

結論:機構窓口確認・物件の登記情報整理・専門家相談の3つを最初の1週間で済ませてください。
農地バンクは事前相談で90%が決まる領域です。以下を実行してください。
- 都道府県の農地バンク窓口の連絡先を確認
- 対象農地の登記事項証明書を法務局で取得
- 機構窓口で事前相談(無料)
ご相談は無料で承ります

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