家の購入を検討している際、ネットの情報で「市街化調整区域」を目にした人も意外と多いかと思います。
「市街化調整区域に家を建てることはできるのか?」と疑問を抱く方もいますが、中には法律で定められた条件を満たすことで家を建てられることもあります。
本記事では、市街化調整区域の概要や家を建てる方法などを詳しく解説します。
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市街化調整区域に家を建てることは可能?
原則、市街化調整区域にマイホームは認められません。
後ほど詳しく解説しますが、この区域は都市の無秩序な開発を防ぎ、自然環境や農業地帯の保護を目的として指定されているからです。
そもそも市街化調整区域とは
市街化調整区域とは、都市計画法に基づき、将来的な市街化を抑制するのを目的として指定された地域です。
都市の過剰な拡大や、農業や林業の営みが失われることへの懸念があると考えられるため、規制されています。
市街化区域とは対照的に、都市としての開発が優先される地域ではなく、むしろ開発を制限するための規制が厳しく設けられています。
そのため、一般的な住宅や商業施設の建設は、原則として認められていません。
市街化区域との違い
市街化区域は、都市の計画的な発展を促進するために指定された地域です。
<都市計画法第7条3号>
市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。
引用:e–Gov「都市計画法」
この区域では、住宅や商業施設、公共施設などの建設が積極的に認められ、インフラ整備も進められています。
市街化区域に指定される場所は、都市の拡大が想定されており、人口増加や経済発展に対応できるように都市の整備が行われています。
そのため、土地の開発に対して比較的寛容であり、建築許可が得やすく、迅速な開発が可能です。
市街化調整区域に家を建てる方法!
市街化調整区域に家を建てる方法は、主に以下の通りです。
- 立地基準をクリアしている土地に建てる
- 宅地利用が認められている土地に建てる
- 開発許可なしで建てられる建物を建設する
詳しく解説します。
立地基準をクリアしている土地に建てる
市街化調整区域は開発が原則として制限されていますが、立地基準を問題なくクリアしている場合は、例外的に家を建てることが許可されることがあります。
立地基準とは、建設予定地の環境や周辺の状況、既存のインフラ設備に関する条件を示すものです。
具体的には、都市計画法第34条11号に定められている基準を満たすのが必要です。
<都市計画法第34条11号>
市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であつておおむね五十以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち、災害の防止その他の事情を考慮して政令で定める基準に従い、都道府県(指定都市等又は事務処理市町村の区域内にあつては、当該指定都市等又は事務処理市町村。以下この号及び次号において同じ。)の条例で指定する土地の区域内において行う開発行為で、予定建築物等の用途が、開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないもの
引用:e–Gov「都市計画法」
これらの立地基準をクリアしているかを慎重に確認し、必要に応じて自治体に相談しながら進めることが大切です。
宅地利用が認められている土地に建てる
市街化調整区域では、一般的な新築住宅の建設が制限されているため、住宅を建てるには例外的に許可をもらう必要がありますが、その際、土地の用途が大きなポイントになります。
宅地として使える土地は、過去に許可を得て住宅地として利用されている場合や、すでに建築されている家がある場合などです。
宅地として活用するのが許されている土地に建てる家は、都市計画法第34条に記載されている建物である必要があります。
その建物は、主に以下の通りです。
- 住宅兼用店舗
- 既存住宅の建て替え
なお、上記2つに該当する場合、許可が必要となるため、注意してください。
開発許可なしで建てられる建物を建設する
一般的に、市街化調整区域は新たに都市開発を行うことができず、通常の住宅建設には開発許可が必要ですが、一部の条件を満たせば許可を取得せずに建設できる場合もあります。
具体的には、農林漁業を営む者の居住用建築物は許可なく開発が可能です。
<都市計画法第29条(開発行為の許可)>
市街化調整区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行うもの
引用:e–Gov「都市計画法」
市街化調整区域に家を建てる場合は宅地の建築許可を受けなければいけない
市街化調整区域に家を建てる場合は、宅地として利用してもよいかの許可が必須です。
ここでは、建築許可を受ける際に必要なことを詳しく解説します。
都市計画法34条とは
まずは都市計画法34条の基準を守る必要があり、特に下記4つの内容に該当しなければ、建物を建てられません。
- 第11号:市街化区域に隣接し、日常生活圏を共有する50以上の建物が連続する地域で、環境保全に問題がないと認められる地域。
- 第12号:開発区域周辺で市街化が進む恐れがなく、条例で区域や建築物の用途が限定されて定められた地域。
- 第13号:市街化調整区域の拡張前から居住・業務用だった土地で、拡張後6ヵ月以内に都道府県知事に届け出た場合、建築が許可される土地。
- 第14号:周辺で市街化が進む恐れがなく、市街化区域では不適当とされる開発行為で、都道府県知事が開発審査会を経て許可するもの。
参考:e–Gov「都市計画法」
上記基準に満たしていればOKですので、購入を検討している土地がある方は、事前にチェックしておきましょう。
開発許可の申請方法とは
開発許可の申請手続きは、以下の流れで行います。
- 土地の利用状況や周辺環境の把握
- 申請書類の準備(土地の登記簿謄本、計画地図、建物の設計図、環境影響評価書など)
- 申請書を地元の自治体に提出
- 審査
- 建設
開発許可の申請は段階を踏んで進める必要があり、正確な情報と適切な手続きを行いましょう。
市街化調整区域を買わない方がいい場合もある
そもそも市街化調整区域は、都市計画に基づいて新たな市街地の拡大を制限するためのエリアであり、居住用や業務用の開発が一般的に難しいです。
そのため、売却を視野に入れた不動産投資を考えている場合には、市街化調整区域の土地を購入するのはおすすめできません。
売却目的の不動産投資では、将来的に資産価値の上昇を期待するのが一般的です。しかし、市街化調整区域内の土地は、開発が制限されているため、需要が限られます。
土地を購入した際に、将来的に売却したいと思った時に、買い手が見つかりにくくなってしまい、資産価値の上昇は期待できないでしょう。
結設計では都市開発のご相談を承っています!
市街化調整区域は、一般的に家を建てるのが難しいですが、一定の条件をクリアしていれば問題なく建てられます。
都市計画法34条の内容に基づいた建物でなければ許可が降りないため、まずは都市計画法の内容を把握しましょう。
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